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荒ぶる女神の抱擁-蛇の誘惑は甘い香り-

4130mのヒマラヤは、一歩足を踏みだす度に肩で息をする空気の薄い土地。豊穣の女神が司る大地を歩いてきました【神々の峯へ-4 ABC Trek Day-4 (マチャプチャレBC→アンナプルナBC)】

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2017年の年末に相棒と二人で挑戦したネパールでのA.B.C.トレッキング。
トレッキングは全7日間の行程で、その内の2日間は天候の悪化や体調不調のリスクを考えて準備しておいた予備日で、もともと山男の相棒と楽天的な私が歩くので、予備日はよほどのことがない限りの保険でしかないだろうと安易に考えていました。
しかしネパールの山の神はそんなに甘くはなく、トレッキング3日目にして予備日の1日を消化せねばならない事態に陥ってしまいました。

A.B.C.トレッキングでの最難関部分は、高度4000m付近と言われています。
4000mの標高と言えば富士山よりも高く、少し歩くだけでも肩でハァハァと息をするような世界、トレッカー自身の基礎体力が勝負となる極限の世界です。
そして、そんな世界には人間の目には見えない魔物が棲んでいて、魔物は風の中に静かに潜み、憑りつく宿主を探しています。

その魔物に目を付けられたのが相棒で、高山病という名の魔物は相棒から食欲を奪い取り、彼は食事を受け付けなくなってしまい、食べなくては体が持たないからと無理に食べさせても吐いてしまうような状況で、どうしてよいのかわからない;打つ手がない、笑い話では済まされない危機的な状況となってしまいました。

そんな相棒を救ったのは、真赤な彼女。
旧約聖書ではEVEを誘惑しエデンの園から追い出す原因となった林檎が彼に少しだけ手を貸してくれ、相棒と私は無事にこの旅の目標地点であったアンナプルナ・ベースキャンプ(A.B.C.)へと到達することが出来ました。

そんなトレッキング旅4日目 (マチャプチャレ・ベースキャンプ(BC);3700m→アンナプルナ・ベースキャンプ(BC);4130m)の旅行記です。

★2017年末-2018正月 ABCトレッキング旅 日程★
□12/29 羽田(00:20)-バンコク-カトマンズ-ポカラ(15:00)
    タイ航空 イエティ航空利用
・12/30-1/5 6泊7日 ABCトレッキング
 ・Day-1 12/30 ポカラ→シワイ→チョムロン(2170m)
 ・Day-2 12/31  チョムロン→ヒマラヤ・ホテル(2920m)
 ・Day-3 1/1 ヒマラヤ・ホテル→マチャプチャレ・ベースキャンプ(3700m)
 ■Day-4 1/2 マチャプチャレ・ベースキャンプ→アンナプルナ・ベースキャンプ(4130m)
 ・Day-5 1/3 アンナプルナ・ベースキャンプ→シヌア(2360m)
 ・Day-6 1/4 シヌア→ジヌー(1780m)
 ・Day-7 1/5 ジヌー→シワイ→ポカラ
□1/6  ポカラ-カトマンズ イエティ航空利用
□1/7  カトマンズ(13:55)-バンコク-(成田)
□1/8  -成田(06:15) タイ航空利用

★2017年末-2018年始 ABCトレッキング旅 旅行記★
・ビザの取得は忍耐の連歩 http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27528/
・大和撫子 山岳民族に勝負を挑む♪ 
http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27547/
・高山病は妊夫の気分
http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27570/
・荒ぶる女神の抱擁
http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27612/

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マチャプチャレB.C.(ベースキャンプ)での朝は、静か。
一昨日のトレッキング2日目の朝は鶏の声、昨日のトレッキング3日目の朝は朝早くから出立するトレッカーの声で目覚めたが、此処ではそんなことはない。
宿泊者はいるのだが、そんなに数は多くないのだ。

宿泊者の数が少ない理由は、マチャプチャレB.C.の標高の高さだ。

マチャプチャレB.C.の標高は3700mの高山病危険エリアで、アンナプルナを目的に歩くトレッカーの多くは、マチャプチャレB.C.には宿泊せずにA.B.C.(アンナプルナ ベースキャンプ)まで一気に登ってしまいA.B.C.で宿泊し、高山病危険エリアでの宿泊を1泊のみにするパターンが多い。

しかし、我がチームJAMJAMはあえてマチャプチャレB.C.(3700m)とA.B.C.(4130m)での各1泊、高山エリアでの2泊のルートを選択した。
高山病の発症リスクを冒してまでもマチャプチャレB.C.で宿泊した理由は、チームJAMJAMの発起人である相棒の体調の悪化。

(写真:朝6:30 マチャプチャレB.C.の朝。この場所の由来となったマチャプチャレ山;6997mの姿が夜明けの空に浮かび上がっていた)

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もともと相棒は12月の中旬から風邪をひいていて、その風邪もネパールへ来る直前には治っていた筈だったのだが、なぜか、風邪がトレッキング1日目の夜にぶり返し、更にそこに付けこんできたのが高山病の魔の手。
高山病の初期症状である吐き気、嘔吐、そして食欲不振・・・否、食べ物の臭いを嗅ぐだけで吐きそうになる症状が彼を襲い、お粥を作ってもらっても一口、二口、食べるのがやっとの状態となってしまった。

マチャプチャレB.C.からA.B.C.までの登りは僅か1.5時間の道なのだが、昨日の彼にはその1時間半を歩く体力すら残っていなく、敢て昨日の午後は歩かない休養日とし、マチャプチャレB.C.で高度順応も兼ねて彼の高山病の症状が回復するのを待つことにした。

(写真:朝6:30 丘の向こうに見えるアンナプルナの峰。朝日がアンナプルナ・サウス、アンナプルナ本峰を朱色に照らしだしていた)

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そんな訳でトレッキング3日目となる昨日の午後はマチャプチャレB.C.で過ごした訳だが、何をしていたかって…。

景色を見ていた?
寝ていた?
遊んでいた?

答えはどれもNOだ。

マチャプチャレB.C.はもともと眺めの良い場所だったので、私自身もベースキャンプからの眺望には期待をしていたのだが、私たちが1泊の滞在を決めた直後から空には怪しい灰色の雲が現れ始め、午後にはふわりと雪が舞う天気で外気温は0℃以下まで下がり、とても外には居られない状態だった。
だから、眺望は諦めて、トレッカーの集まる食堂でのんびりと半日を過ごした。

(写真 時折、雲が切れるとアンナプルナ・サウスの姿が見えた午後/食堂の窓越しに撮影)

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Machhapuchhre Base Camp(マチャプチャレ・ベースキャンプ)

小屋でぼんやり過ごすくらいならば体力の回復のために少しでも寝ればよいのに…と言う意見も有りそうだが、高山帯に入った場合は昼間に寝る(体が高度に順応する前に寝る)のは、一番やってはいけない事。

身体が酸素の薄い状態に順応する前に寝入ってしまうと、睡眠により呼吸数が落ちてしまい脳への必要な酸素供給量が激減し、あっという間に高山病が悪化し脳浮腫をおこし、それこそトレッキングなんて続けられない状態になってしまう。
だから、私は相棒を寝させないために、ひたすら話しかけて相棒の意識を覚醒させておくのに必死。

マチャプチャレB.C.での午後は、話題探しに頭脳をフル回転させたので、体力的な疲れとは違う意味での疲労を感じてしまった。

(写真 マチャプチャレB.C.の食堂にて。この日の宿泊者は6組で、トレッカーによってはA.B.C.には宿泊せずに此処からA.B.C.まで日帰り往復し、高山病のリスクを軽減する人もいる。)

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そんな訳で、マチャプチャレB.C.に関する話題は少ないのだが、トイレに関する話を1つだけ書いておきたい。

マチャプチャレB.C.のトイレは、他の宿と変わらず手動水洗式のトイレで、用を足した後は手桶で水を汲み、自分で便器を流す方式だ。
私もその方法自体には特に違和感もなく利用できていたのだが、宿泊した翌日の朝の5時、尿意で目覚めた私は半分寝ぼけた状態でトイレに行き、さて水を流そうかと手桶の入ったバケツに手を伸ばして、一気に目が覚めた。

外にあるトイレは寒いとは感じていたが、バケツの水が完全凍結しバケツが氷の中に半分傾いて凍りついていて、このままでは便器を流すどころか自分の手すら洗えない状態だった。
そこで私のとった方法は、渾身の一撃のパンチ。
氷はバケツ一面に張ってはいたがそれほどの厚みは無かったらしく、私の非力な腕力でも砕け、ようやくトイレの水を入手することに成功した。

そうそう、トイレと言えばもう一つ話題があるのを忘れていた。
それは、トレッキングに持っていくと便利なものについて。

ヒマラヤの山小屋ではトイレットペーパーはトイレには常備されていなく、トレッカーが自分自身の分は自分で持っていかなければならない。
日本のトイレットペーパーは柔らかくて優秀なので日本から持参するのがお勧めなのだが、乾燥した山の中で7日間も風呂に入らずトイレットペーパーのみでお尻を拭いていると、柔らかいペーパーと言えども、だんだんお尻付近が痛くなってしまう・・・という問題点もある。
デリケートな部分の問題なのであんまり話題には上らないとは思うのだが、こんな時にあると便利なのが、ベビー用おしり拭き(携帯サイズ)。
赤ちゃん用なので強い薬品も使われておらずソフトな使い心地で、毎日使ってもお尻も痛くならないからお勧めだ(女性特有の月一の状態の時にも持っていると便利だと思う)。

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ここで、旅行記はトレッキング4日目の朝へと時間軸を動かして、マチャプチャレB.C.の朝へと話を戻す。

Trek-4日目の朝の朝食は7時半。
昨日の午後の半日休憩が少し効いたのか、相棒は朝食でフレンチトーストを半枚食べることが出来た。
私は相変わらずの大食いだが、さすがに高山域なので食欲が少し減退し卵2個のオムレツのみ。

8時10分にマチャプチャレB.C.を出発し、今回の目標でもあるA.B.C.(アンナプルナ・ベースキャンプへの最後のルートを歩き始める。

ガイドのディネシュさんとポーターのオニィさんの二人は朝から元気。
2人はここが高山だという事は全く、気にならないようだ。
まぁ、私自身も食欲は薄かったものの、日の出の時間帯から朝食までマチャプチャレB.C.からの風景を撮りに部屋を出たり入ったりしていたので、人のことは言えないのかもしれない。

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朝の空気は確実に0℃以下。
歩き出して5分もしない内にトレッキングポールを握る左手の指先の感覚が分からなくなり(勿論、登山用の冬仕様グローブは着用している)、凍傷を起こす手前の危険な状態に。
慌てて両手の指をピアノでドレミファソを弾くような感じに動かして、血行を回復させた。

そして口から吸いこむ空気も尋常ではない冷たさで、一口吸い込む度に肺には刺すように痛い空気が入ってくる。
高山病を起こさない為にも十分な呼吸を確保しなければならないのだが、あまりの空気の冷たさに呼吸が浅くなりがち。
だから口元にはバンダナを巻きバンダナ越しに空気を吸いこみ、少しだけ顔とバンダナの間で温められた空気を肺に入れるようにしたら、多少、肺が楽になった。

写真では分かりにくいだろうが、写っているメンバーは3人とも口元をバンダナで覆う銀行強盗スタイルだ。

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マチャプチャレB.C.からA.B.C.(アンナプルナ・ベースキャンプ)まではコースタイムで1時間半。
この7日間のトレッキングの中では1日の歩行時間が一番短いルートだ。

距離も時間も一番短いのだが、此処が一番の危険地帯である最標高地点。
ゆっくり、ゆっくり、躰に無理がかからないスピードで登らなければならない。

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マチャプチャレB.C.から登り始めて40分ほどで一番手前の丘を越えると、目の前には今まで見えていなかったアンナプルナの全貌が広がり始める。

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この景色が見えるまでは、薄い酸素の中での上り坂のトレッキングに息も絶え絶えで歩いていた私(笑)。

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でも、この景色が見えてきた瞬間に姿勢がシャンと伸び、カメラに手を伸ばす元気も出てきた。

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荒ぶる女神の抱擁-蛇の誘惑は甘い香り-へのコメント

animoさん  2018/02/14 23:08

アンナプルナBCから見えるマチャプチャレはポカラの町から見るのとちょうど真裏方向で、魚の尻尾型の尾根がよくわかりました。
ポカラの町から見える姿だけでも、感動しますよね。

チンくんさん  2018/02/13 13:50

ポカラから眺めていたマチャプチャレ、アンナプルナにはこのような景色が広がっているのですね!実用的な情報もたくさんあり、勉強になりました。

すみとさん  2018/02/07 09:58

現地で実際に経験している人の生の声は説得力がありとても参考になります!
私は男ですが女性特有の問題についても知っていれば配慮することができますので、そういったことも「自分には関係ない」ということではなく興味深い情報として読むことができました(^^)

animoさん  2018/02/07 00:13

今回の旅行記では山の景色以外にも高山病に関する内容やネパールの冬のトイレの様子なども盛り込んでみましたが、少しは役に立つ情報だったでしょうか。
寒冷地における電池の保温対策はいろいろあると思うので、今回の紹介は一例としてです。
女性の場合は下着のポケットの利用も可能ですが、汗が直接つかないようにする点など注意しなくてはならない部分も有りますね。

すみとさん  2018/02/06 11:20

トイレ事情やバッテリの保管方法等ちょうど気になっていた部分もあって色んな意味で興味深く読ませていただきました。
リンゴの登場にはこちらもホッと胸を撫で下ろしました(^^)


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