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Win-Win詐欺事件★悪徳警備員には気を付けろ

2017年GWのウズベキスタンの旅は、毎日がドキドキの旅。最後の訪問地サマルカンドで遭遇したのは何とも不思議な詐欺事件。騙す側も騙された側も損をしないって、どういうコト!? 【スタンの国へ-7】

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Win-Win詐欺事件★悪徳警備員には気を付けろ

2017年のゴールデンウィークに母と旅したウズベキスタン。
今回の旅は日本出発から帰国までが7日間、現地滞在が5日間と一般的なツアーと比較したらチョピリ短めでした。
あと2日プラスすれば、飛行機を乗り継いで古都ヒヴァまで足を延ばせるのは分かっていたが、敢てその様にしなかったのが今回の旅でした。

旅の期間を7日間とした1つの理由は飛行機の運賃で、五月の連休をフルに利用するスケジュールで飛行機をとろうとすると航空券代がぐんと高くなるという事情も有りましたが、懐事情だけならば多少高くても休みを目いっぱい楽しめる9日間のスケジュールにしていたと思います。

旅の日程を短めとした一番大きな理由は、同行する母の年齢です。
この年に73歳を迎えた母は、彼女の身体能力、そして気持ち年齢的にはまだ十分60歳代と言っても問題はなかった筈で、多分9日間の行程でも体力は持ったのではないかと思います。

今回の旅は、現地手配会社に交通機関等の依頼はしましたが、基本的にはガイドなしの完全個人旅。
私達母娘の様に色んな対象物に興味を覚える旅人にとってはツアーではない完全個人旅は、自由気儘に動ける気楽さが一番のメリットですが、その反面いつ何が起こるか分からないという緊張感を絶えず伴い、精神的な疲れも大きく、母の年代では気が張っている現地では体力が持っても、帰国してからその疲れと反動で体調を崩す恐れが考えられました。
せっかく行く旅なのだから辛い記憶は残して欲しくなく、「楽しかった♪ また、行きたいね」そんな風に感じてくれる旅にしたい…そんな想いから、7日間という短めの日程にしました。

そして、帰国の日の母は元気いっぱい。
5日間の滞在中、ウズベキスタンの脂の強い食事で少し食欲がなくなった時も有りましたが、元気いっぱいの状態で日本へと帰ることができました。

更に旅には後日談があり、中央アジアの空気や人の優しさがツボにはまった母と私は、旅の一か月後には、1年後の航空券をポチリ。
旅の前に友人に言われた「ウズベキスタンはお勧め♪癖になるヨ」という言葉。
その言葉に間違いはなく、私たちも中央アジアの魔力に魅入られてしまったようです。

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☆★2017G.W. スタンの国へ行ってみよう♪母と娘で歩くシルクロード 旅程☆★
□5/2 成田09:25-11:50インチョン15:45-19:20タシュケント(大韓航空)
    タシュケント駅22:05-寝台列車-05:55(+1)ブハラ駅
□5/3 ブハラ観光
□5/4 アイダクル湖・キジルクム砂漠への一泊二日ツアーへ
□5/5 キジルクム砂漠-サマルカンド
■5/6 サマルカンド観光
■5/7 サマルカンド観光 
    タシュケント21:20-
□5/8 07:35インチョン10:10-12:30成田(大韓航空)

☆★旅行記☆★
・闇両替も悪徳警備員も、どんと来い♪ http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/26626/
・夜行寝台列車はクリスティの世界
http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/26650/
・古のオアシスに微睡む夢
http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/26705/
・アレクサンドロスの追憶
http://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27747/
・砂漠のユルタでキャンプ
https://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27813/
・生ける王が眠る青い古都
https://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27843/
・Win-Win詐欺★甘い話には裏がある
https://tabisuke.arukikata.co.jp/album/27869/

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旅の5日目の17時半に母と私がいたのは、サマルカンドの中心にあるレギスタン広場。
レギスタン広場は今でこそ市民の憩いの場だが、その昔は此処で市が立ち、王の謁見や公開処刑が行われていた歴史ある広場だ。

現在のレギスタン広場には3つのメドレセ(神学校)があり、その中の1つにはイスラム教ではタブーとされているモノがデザインされていて、母も私もとても楽しみにしていたのだが、私達はそれを愉しむことなどとてもできない状況に置かれていた。

(写真:シェルドル・メドレセ。ファザードのデザインに異質なものが・・・)

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私たちが置かれた状況。
それは、ちょっと厄介な立場だった。

事の始まりは、この日の夕方に私たちが並んだレギスタン広場でのチケット・ブースで起きた。
この日のチケット・ブースは大勢の観光客で混みあっていて、更に観光客と窓口の係員の間で言い争いが勃発していて、チケット販売が再開される迄時間がかかりそうな雰囲気だった。

そんな私達の様子を見ていたのは、レギスタン広場の警備をする制服姿の警備員さん。
彼は仕事が暇だったのか、私たちの傍へと寄ってくると流暢な英語で、どこから来たのか?とか母娘なのか?と私たちを質問攻め。
彼は一通り質問が終わると、一つの提案をしてくれた。
それは…【レギスタン広場の入場チケットは、広場の中に入ってからでも買える。チケットブースでは今トラブルが起きていて暫く列が進みそうにないから、チケットは中で買えばいい】というもの。

素直な母娘である私たちは「そうなんだ~」と彼の言葉に従って、警備員のオジサンが外してくれたロープを潜ってレギスタン広場の中へと入ったのだが、中に入って10mもしない処で、広場内を巡回する赤シャツの係員に掴まっていた。

(写真:シェルドル・メドレセのネギ坊主(ドーム天井))

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赤シャツは私たちに「入場チケットを見せろ」と云うので、私は「これから買うのだ」と答えたら、赤シャツ曰く「チケットを売っているのはあそこに見えるチケット・ブースだ。お前たちは、チケットを持たずにどうやってこの中に入った?」と完全に詰問口調。

仕方がなく先ほどの警備員のオジサンとのやり取りを説明したのだが、赤シャツはその答えに納得してくれなく、赤シャツを連れて先ほどの制服警備員の所へと逆戻り。
そこで、警備員と赤シャツを引き合わせたのだが、どうやら二人は顔見知りらしく顔を合わせるなり二人でゴニョゴニョと内緒話。

赤シャツは警備員との内緒話を終えた後に私たちの所へと戻り、今度は母と私を広場の中へと連れ戻し、更に人目の少ない柱の影に母と私を連れていき、赤シャツのスマホを私に差し出し電話に出ろと私に言う。

(写真:ウルグベク・メドレセ)

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どうして私が赤シャツの電話に出なくてはならないのかと訝しみつつもスマホを受け取ると、電話の主は先ほどの警備員。

警備員が私に話した内容。それは予想もしていない話だった。
「これから話す内容は、君たちと私、そして隣にいる赤いシャツの男との秘密だ。隣にいる赤シャツの男はレギスタン広場のチケット・チェックの男で、彼が君たちにチケットを売ってくれる。チケットは定価ならば一人2万9千スム(600円)だが、赤シャツに払うのは2万スム(400円)とディスカウントだ。コレは君たちにも得な話だろう。だから、彼に二人分の4万スムを支払ってほしい」

(写真:ウルグベク・メドレセ)

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スマホ越しの警備員の話を聞いて、私の頭の中で全ての合点がいった。

つまり、入口の警備をする制服警備員と広場内のチケット・チェックの赤シャツはグルでつるんでいて、警備員は広場の中に入っても目立つ組み合わせの観光客をチケット・ブース前でピックアップして話しかけ素性を探り、カモになりそうかどうかを探っていたのだ。
そして、ある程度融通が利きそうと思う観光客をそうっと広場の中へと入れ、赤シャツに引き合わせ、金を払わせる。
つまり、観光客が支払うレギスタン広場への入場料金が入る場所は政府ではなく、警備やチケット・チェックの係員のポケット。
不正取引なのだが、観光客にもディスカウント料金を提示するので観光客は大抵、その条件で取引に応じてしまう。

ウズベキスタンの公務員の給料は学校教員でも十分ではなく、教員ですら本職以外に家庭教師のアルバイトをして生活をしている人も多いらしい。
きっとレギスタン広場の警備員やチケット・チェックの赤シャツの男も公務員で、給料だけでは家族を養えない。だから…と言う事なのかもしれない。

(写真:ティラカリ・メドレセ)

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赤シャツを振り切ってこのままチケット・ブースに戻って正規のチケットを購入することも考えたがココまで巻き込まれてしまっているし、このやり方がウズベキスタン式なのだろう。
郷に入ったら郷に従え…ではないが、今回は彼らのやり方につき合う事にして、赤シャツに二人分の代金である8万スムを支払った。

赤シャツは「ここから先で別の男にチケットの事を聞かれたら、赤シャツの男に支払ったと言えば通じるから大丈夫」と私たちに言った。

赤シャツ男のこの言葉は事実で、レギスタン広場の中で何人かの係員にチケットを見せろと言われたが「チケット・ブース脇の赤シャツに支払った」と言うと、皆、それ以上は追及してこなかった。
おそらく、広場に居る係員全員が詐欺のグルで、不正に手に入れた金は全てみんなで山分けなのだろう。
1日で何組の観光客を引きずり込んでいるのかもしれないが、10組もいればそれなりの金額となるのではなかろうか。

まさか、政府の管轄下の施設でこんな詐欺のようなことが行われているなんて想像もしていなかったが(もしかしたら社会主義時代の頃の名残なのかも?)、警備員もチケット・チェックの係員も観光客もみんながWin-Winとなるようにできた上手いカラクリだ…と呆れつつも、若干、感心してしまった。

(写真:メドレセ両脇の飾り塔の装飾)

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そんなこんなでレギスタン広場に入場してからの最初の10分はどうなることかとドキドキだったのだが、赤シャツに入場料を上納してからは通行手形を手に入れた気分で、母と二人で、3つのメドレセを巡った。

レギスタン広場にあるメドレセは、全部で3つ。
正面に見えるのがティラカリ・メドレセ。
左がウルグベク・メドレセ。
右がシェルドル・メドレセだ。

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赤シャツと別れた私たちがまず見に行ったのがシェルドル・メドレセ;1636年に建築されたメドレセ(神学校)だ。

名前(シェルドル)のシェルとはタジク語で「ライオン」ドルは「持つ者」を意味し、メドレセの正面には金色に輝くライオン(背には日輪が輝く)が小鹿を狩るシーンがデザインされている。

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コレが仏教やキリスト教の建物であるならば、悪趣味なデザイン~で済むところなのだが、このメドレセはイスラムの教義を学ぶ神学生の為の学び舎。

イスラム教の教義では偶像を描くことは禁じられているのに、当時のサマルカンドの権力者であったヤラングトゥシュ・パハドゥル王は自分の顔を権力の象徴でもあるライオンに載せてデザインした建築物を作らせた。

王が示したイスラムの教義を裏切る行為に対し、イスラム教を崇拝する市民から暴動が起きてもおかしくはない状況だったのだが、気性がそこまで激しくはないウズベキスタンの人達は怒りを表すだけだった。

しかし無言の怒りほど圧迫感が強いものはなく、精神的に参ってしまったのは王の命令でライオンの姿をデザインし、タイル細工を作った建築家。
彼は自責を感じ、自分の命を以て償う道を選んだそうだ。

そんな昔話の残るシェルドル・メドレセ。

眩いサマルカンド・ブルーで彩られたメドレセ付属の玉ねぎ型ドームの色も、悲しい話のせいでチョットくすんで見えた。

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神学校であるシェルドル・メドレセの内部構造は、学生のための小さな部屋が連なる造りをしている。

建物は2階建てで部屋の天井は高く、その壁装飾の青タイルも煌びやか。

神学生用の寄宿舎であった小部屋の1階部分には観光客も入ることができるのだが、私は遠くからその風景を見ているだけの方をお勧めする。
だって、今のメドレセの小部屋はお土産屋さんの為の部屋へと変わり果てていて、興ざめすることは間違いない。

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Win-Win詐欺事件★悪徳警備員には気を付けろへのコメント

animoさん  2018/04/29 13:18

ウズベキスタンならではの詐欺事件でしたが、騙した側にも騙された側にも損が発生しないよく考えられた詐欺で、後半は私自身もなりゆきを楽しんでいました。

人間、いろいろと思い付くものですね。

masakazuさん  2018/04/27 18:55

大変な思いされましたね。しかし、写真は素晴らしいものばかりですね!


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