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Femme Fatale -運命の赤い糸-

ラフカディオ ハーンが綴った怪談。ハーンを巡る旅をしていくうちに、いつしか紛れ込んだのは、現の世界かげん黄昏の地か・・・ -ヘルンが愛した神々の国-

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あれから、どの程の月日が過ぎたことでしょう。
浮世を離れ、ヘルンと共に“彼の地”と呼ばれる場所で身を横たえ、永い時が過ぎました。

肉体を離れた魂と呼ばれるモノは、時空を超えることも自在でございます。
私は時折ヘルンの下を離れ、魂の旅に出ます。

あれは、いつの事だったのでしょうか。
隠岐で、私がヘルンについて語った言葉を記した本を持つ女性(にょしょう)を見かけたのは…。

殿方がお召しになる様な洋装の女性は西ノ島の黒木御所跡の高台で、我が夫“Patrick Lafcadio Hearn”の本を片手に海を眺めていました。
その女性に親しみを覚えた私は、女性に留まり、しばし現し世を漂う事にいたしました。

私の名は、小泉セツ。
我が夫は、日本では小泉八雲として知られるギリシア血脈の明治の文筆家でございます。

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---旅日記 1--
台風に追われながらも、隠岐諸島の西ノ島での絶景三昧の旅を楽しんだ私が向かったのは島根県の松江市。

本来ならば最終便の船で脱出するはずであった西の島を7:40の朝イチのジェットフォイルで離島した。  

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台風の進路は予想よりユックリではあったが、台風のもたらす風は海の波を苛立たせ、この日の夕方の船は欠航が決定していて、隠岐諸島に滞在していた旅人には朝の便に乗り本土に戻るという選択肢しか残されていなかった。

10時過ぎに到着した境港からはバスで松江市へと向かう。

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松江駅まではシャトルバスで40分(運賃1000円)。

松江駅への到着は11:00。
まずは駅徒歩5分のホテルへと荷物を預け、駅前で市バスの一日券を購入する。

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松江市はそれほど大きな街ではないので、市内循環バスの1日乗車券を購入すれば、ほぼ1日で観光が出来る。
バスの1日乗車券(ぐるっと松江レイクライン)は500円。

バスの内装は明治や大正時代を彷彿とさせるレトロな雰囲気だった。

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この日は西ノ島での出立が早く民宿での朝食が食べられなかったので、腹ペコ。
観光前にまずは腹ごしらえをしなくては私が倒れてしまう。

松江駅からバスに乗り県庁前バス停で下車し、出雲そばで有名な一色庵(いっしきあん)へと吸い込まれるように入る。  

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---セツの独白 1---
私の名前は、セツ。
小説「怪談」の著者として知られる小泉八雲(ヘルン)の妻でございます。
後世ではヘルンの事をラフカディオ・ハーンと呼ぶ方が多いそうではございますが、八雲自身が“ヘルンさん”と呼ばれることを好んでいましたので、此処では敢て“ヘルン”と呼ばせていただきとうございます。

ヘルンが松江へとやって来たのは明治23年(1890年)のこと。
島根県尋常中学校と師範学校の英語教師として松江に赴任して参りました。

松江の蕎麦は“出雲そば”や“割子そば”と呼ばれておりまして、他の地域の蕎麦の食し方と異なる食の作法がございます。
三種類の薬味を蕎麦に乗せ食するのですが、だし汁に卵の白身が隠し味として入っております。

ヘルンはこの出雲蕎麦を大変気に入っていたものでございました。

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出雲そばの特徴は三段重ねの割子と呼ばれる容器にございます。
蕎麦は三段の割子に入れられ、1段目の割子にだし汁を入れ食したあと、残りのだし汁を順に2段目・3段目の蕎麦へとかけ、最後に、残っただし汁を蕎麦湯に入れて飲み干すのがこの辺りでの流儀でありました。

日本での最初の蕎麦が横浜であったヘルンには、お江戸方式とは異なる出雲そばの一風変わった食べ方が面白かったらしく、松江に居る間は出雲そばを好んで食べておりました。

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---旅日記 2---
一色庵で出雲そば(1080円)を食べお腹を満たした私は、本格的な松江観光へ。
松江の観光はこの日の午後半日しかなかったので、あまり行動範囲は広げずに松江城周辺エリアと夕方の宍道湖だけに絞り込んだ。

今回の隠岐諸島への旅で、旅の最終泊に松江を加えたのには2つの理由があった。

1番の理由は、隠岐旅が島旅なので旅程や船便にトラブルがあった場合の回避処置や、何らかの理由で早く島を離れなくなった時のバックアッププランとして。
もう1つの理由は、松江にはいつか行ってみたいと思っていたから。

最終的に今回の島旅では、台風の影響で島旅を1日早く切り上げなければならなくなり、準備していたバックップ計画を発動することとなり、松江と足立美術館(鳥取)を1泊2日で組み入れることとなった。

私が松江に行ってみたいと思っていた理由は、そこが小泉八雲に縁の地であるから。

小泉八雲;ラフカディオ・ハーンとして知られる作家の小説を初めて読んだのは小学生の時。
読んだ本は子供向けにアレンジされた「怪談」。
どの話も現実の世界の事とは思えずに空恐ろしかったのだが、中でもズシンと心の奥底に残ったのは「雪女」というタイトルの小話。
冬になると雪が降りつもる新潟で子供時代を過ごした私にとっては、物音が全て吸い取られてしまうシンシンと雪が降り積む夜に読む「雪女」の話は、絵空事ではなかった。

家族がみな、寝静まった雪の夜。
ふと目を覚ますと、雪明りに照らされた障子戸に髪の長い和装女性の影を見た…気がしたのは1度や2度ではない。

そしてオトナになってから、小泉八雲の書いた話は全て英文であり、その話のソースは妻である小泉セツ(セツではなく本名は節子であったとする文献も有る)がヘルン語で語る日本民話であったと知った。

節子と八雲が出会ったのが、島根県松江市。
2人が出会う運命が無ければ、八雲が後世に残る名作を書くこともなかっただろう。

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道路を渡り、松江城の敷地内へと入る。
9月とはいえ、まだ残暑が残る季節。

お堀沿いの緑地帯の中は、木々の下を通り抜ける風が少しだけ心地よい。

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城址沿いでギリギリ井戸跡という場所を発見した。

なにやら曰くがありげな名前なのだが、やはり、その推測は大当たり。

その昔、松江城を築城する際に、いくら石を積み上げてもすぐに崩れてしまう石垣があり、その現象を不審に思った城主が石垣の下を調べたところ、頭に矢が刺さった古い頭蓋骨が埋まっていたそうだ。
不憫に感じた城主が頭蓋骨を丁寧に弔った所、城壁が崩れることは無くなった…とする伝説が残っている。

城が出来上がるギリギリのタイミングで出来た城壁の傍にある井戸だから、ギリギリ井戸…と呼ばれている訳ではない。

山陰地方の方言でギリギリとは頭頂部のつむじを指す言葉で、頭蓋骨(ギリギリ)を弔った後の場所から水がこんこんと湧き出るようになり、そこに井戸が作られ、ギリギリ井戸と呼ばれる水場になったという事だ。

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ギリギリ井戸の脇を通り抜け、向かった先は松江城の敷地内にある城山稲荷神社。
ここは石狐がいるパワースポットとして有名な場所。

でも、私の目的はパワースポットではなく、小泉八雲が愛した石狐に会う事。

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メモ

☆移動
境港→松江駅 バス 1000円
松江バス1日券 500円

☆食事
出雲そば 1080円

☆小泉八雲旧家
入館料 300円

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