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紅蓮華/古代蓮の囁き

紅の花の寿命はたった4日間。その軌跡を追いかけました。

紅蓮華/古代蓮の囁き

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紅蓮華/古代蓮の囁き

夜がゆっくりと明けようとする頃
静まりかえった池では
ゆっくりと動の蠢きが始まります

ぎゅっと堅く閉じ
外気に触れることさえも拒むような蕾

それが一枚、一枚とほぐれ
内に秘めた黄金(こがね)色の花床が外気の中へと
顔を覗かせます

そのお目見えの時
蓮の花は小さな “ぽん!”という音を立てるそうです

ウソか
マコトか

蓮が囁く初夏の呟きが聞きたくなり
紅蓮(ぐれん)の花とも呼ばれる蓮が咲き誇る蓮池-“古代蓮の里”を訪れました

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紅蓮華/古代蓮の囁き

蓮に会いにやってきたのは、6年前の2014年にも訪れた埼玉県行田(ぎょうだ)市の古代蓮の里。

蓮の花は日本中の何処でも蓮池があれば見ることができますが、この場所で見ることのできる蓮はちょっと特殊な蓮で、人工的な手が一切加わっていない3000年前の古代(こだい)蓮です。

古代から続く蓮と言われても、3000年も同じ種が変化もせずに脈々とその世代交代を繰り返している・・・なんてちょっと信じられないですよね。

でも、この池の蓮たちは3000年前の日本、つまり日本の縄文時代の祖先達が目にしていた古代の蓮の花とほとんど同じ種類なのは事実なのです。

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実は、3000年前の古代蓮がこの池で咲いているのにはタイムマシンが関わっています。
タイムマシンだなんて想像上のもの、未来にしか無い装置・・・なのですが、自然界の中には
タイムマシンの様な役割を果たすモノが存在するのです。

例えば、宝石の一つである琥珀もタイムマシンの一つで、映画、ジェラシック・パークで恐竜のDNAを取り出したのは、琥珀の中に閉じ込められた蚊の体液の中からです。

アラスカの永久凍土だってタイムマシン。
凍った土の中から発見されたマンモスからもDNAが採取され、研究に役立てられています。

では、古代蓮の場合は、何がタイムマシンの役割を果たしたのでしょうか。

蓮の種を載せていたタイムマシンは、地球の大地・・・土。

今から遙か昔の縄文時代に咲いていた古代の蓮。
その花が実となり、熟れた実は種となり、花の根元の水の中へと落ち、ふわりと池の底へと辿り着きました。

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本来ならば次の年に発芽するはずだった縄文時代の蓮の種ですが、ちょっとした偶然で、池底の種を土が覆い被し、種から酸素と水分を遮断し、種はそのまま永い眠りの世界へ入ってしまったのです。


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蓮の種が大地のタイムマシンに運ばれている間に過ぎた年月は約3000年。
種が眠りから目覚めたのは、人間界の西暦年号で表すならば1971年のことです。

大昔の縄文時代に蓮が咲いていた池は埼玉県行田市の土地となり、行田市はゴミ焼却場を建築するための調査で地面を掘削しました。

そして、その掘削により嫌気性を保っていた大地に酸素と水が供給され、その2つがトリガーとなり縄文時代の蓮はタイムマシンから飛び出し、現代に蘇ることになったのです。

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蓮の種は空気と水を得て発芽し、ゴミ焼却場予定地であった泥沼に小さな芽を出しました。

広大な沼地に芽吹いた小さな芽。
そんな小さな芽に気がつくヒトは誰も居ませんでした。

しかし、その年の初夏、建築作業のために土地を訪れた工事関係者は絶句することとなりました。

ゴミ焼却場を作るはずだったその場所。
そこはただの泥沼であった筈なのに、集まった関係者の前にあったのは沼に咲く紅蓮の姿。

専門家に調査を依頼したところ、建設予定地に突如現れた紅蓮は2500年前から3000年前の原始蓮であると判明し、自然環境下での自然発芽は過去に例はなく、非常に貴重な蓮であることがわかり、当然のようにゴミ焼却場の建築場所は他の処へと変更となりました。

そしてこの古代蓮は天然記念物に指定され、行田市で見つかったことから行田蓮とも呼ばれる様になりました。



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見つかった当初は2500年前から3000年前の蓮の種から発芽したと言われた行田蓮ですが、その後に実施された放射線同位体を用いた調査で、その種が生まれた時期の幅は1500年前から3000年前ではなかろうかと推定されています。

さて、この日、私が古代蓮の里を訪れた目的は蓮が開花するときの音を聞くため。

蓮の花は、開花時に本当に音を発するのでしょうか。

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前回訪れた2014年は公共交通機関で来たので、蓮華の開花時間には間に合いませんでした。

でも、今回は相棒の車を出して貰う交渉が成立したので、早朝に行くことかできました。
相棒は早起きが苦手ですが、美味しいモノは大好き。
特に彼は麺類には目がないので、古代蓮の里で食べることのできる行田の美味しい手打ちうどんで仕掛けを作ったら、みごと釣り上がりました。

古代蓮の里公園は蓮の開花時期のみ駐車場代金として1台500円が必要ですが、公園内は時間を問わずいつでも無料で入ることができます。

ただ、いつでも入園OKとはいうものの、蓮花が咲く沼地には街灯がなく、暗がりの中では沼に落ちる可能性もあるので危険です。

だから、訪れるのは日が昇り明るくなる頃としました。 

(写真:“大盛り行田うどん”650円@朝9時に開店する公園内の手打ちうどん屋さんにて。地元のおばちゃんたちが運営しているお店なので、盛り付けはおおざっぱですが味はピカイチ)

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紅蓮華/古代蓮の囁き

蓮の花の寿命は4日(3日説もあり)と言われています。

その1日目が、紅蓮花が初めて開く時。
その時に小さな“ぽん!”という破裂音がする・・・という噂があります。

開花時間は朝まだ暗い時間帯から6時位と言われていて、その後、お昼までの間に開花1日目の開きかけた蕾は再びその開口部を閉じてしまうそうです。

だから公園に到着してまず最初にすることは、その日の朝に開花しそうな紅蓮の蕾を探すこと。

到着したのは朝の5時半頃でしたが、公園内の人出は想像以上。
朝早くから多くの人が居ましたが、蓮池の遊歩道を歩く人たちの姿は以前に訪れた時とは異なり、ほとんどの方がマスク着用。

この日は朝から蒸し暑さを感じる日でしたが、2mのソーシャルディスタンスが保つのが難しい遊歩道の上では、自分を守るためにもマスクは必須。

ここ数日、関東圏ではじわりと新型コロナウイルスで陽性反応を示す患者数が増えてきており、日曜日だったこの日も新規陽性者数が東京都で111名、古代蓮が咲く埼玉で県でも23名と増加中。
蓮の花を楽しみに外出する際も、自分の身は自分で守ろうという気概は徹底されているようです。

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園内に3カ所ある大きな蓮池に咲くのは全てが紅蓮の古代蓮(行田蓮)で、遊歩道へと足を踏み入れてしまえば、見渡す限りが古代蓮に囲まれた世界となります。

しかし、これから咲こうとする蕾を探すという作業はかなり大変。

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蕾があっても、未だ堅ければその日は花は開きません。

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ふっくらと開花直前まで膨らんだ蕾があったとしても、その場所が遊歩道から離れた池の中の場合は、例え花開くその時に立ち会えたとしても、紅蓮が放つかすかな開花音など聞き取れる訳はありません。

遊歩道サイドにあるふっくらとした蕾のほとんどは、もうすでにこの日の朝の早い時間に蕾が開きはじめ、現在、花開きing状態で、なかなかお目当ての状態の蕾は見つかりません。


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